サスペンス

サスペンス

凍てつく夜の足音

それは、冬の終わりを迎えたある日のことだった。新潟県の山間部にひっそりと佇む小さな集落。そこに住む私は、いつものように薪を手に暖炉の前で体を温めていた。外は吹雪が荒れ狂い、窓ガラスを叩く風の音が不気味に響く。集落は人家もまばらで、隣家までは...
サスペンス

蔵王の霧に消えた足跡

今から数年前、私が会社員として忙しい日々を送っていた頃の話だ。秋も深まった10月の終わり、久しぶりに取れた連休を利用して、山形県の蔵王へ一人旅に出かけた。紅葉が見頃だと聞き、自然の中でリフレッシュしようと思ったのだ。宿は温泉街にある小さな旅...