夜更けの教室の秘密

実話風

数年前、大阪府にあるある学校で、夜遅くまで残っていた生徒がいた。ある日、その生徒は部活動の準備を終えるのが遅くなり、学校の静寂の中で一人残されることになった。

 時刻は午後10時を回っていた。生徒は教室の窓から見える街灯の光と、遠くで聞こえる車の音だけが頼りだった。教室の片付けを終え、帰ろうとすると、ふと、廊下の端から聞こえる足音が耳に止まった。その足音は、ゆっくりと、しかし確実に近づいてくる。

 「誰かいるのかな?」と、声を出しても返事はない。生徒は好奇心と不安が入り混じった気持ちで、足音の元へと進んだ。廊下の角を曲がると、そこには誰もいなかった。だが、その瞬間、背後から冷たい風が吹きつけ、生徒は思わず振り返った。

 そこには、何もなかった。ただ、教室のドアが開いていた。あの教室は、昼間から閉まっていたはずだ。生徒は恐る恐る教室に入った。

 教室の中は異常に寒かった。黒板には何かが書かれているようだったが、暗くてよく見えない。生徒はスマートフォンのライトで照らしてみた。そこに書かれていたのは、「帰らないで」という四文字だった。

 心臓が早鐘を打ち始めた。急いで教室を出ようとしたその時、教室の後ろの席に座っている人影が見えた。生徒は叫び声を上げて逃げ出した。

 翌日、友人にその話をすると、友人は青ざめた顔で「その教室、昔事故があったんだよ。生徒が夜中に一人で残って、何かに取り憑かれたっていう噂があって…。それから誰もその教室に一人でいないようにしてるんだ」と教えてくれた。

 その日から、生徒は夜の学校に一人で残ることは二度となかった。だが、時折、夜中に一人でいるとき、背後に何かがいるような気配を感じることがある。そして、耳元で小さく「帰らないで」と囁かれるような気がして、ぞっとすることもあった。

 この出来事から数年経った今でも、その教室は使われず、静まり返った夜の学校に、何かが潜んでいるかのように、皆が避ける場所となっていた。

タイトルとURLをコピーしました