異界からの訪問者

SFホラー

数年前、富山県のとある山奥にある小さな集落に、何かが変わった。夜になると、村の外れにある古い神社から、聞いたこともないような音が響き渡るようになった。

村人たちは最初、ただの風のせいだと思っていた。しかし、ある晩、神社の近くで作業をしていた男性が、何かとてつもないものを見たと語った。

「それは、光だった。夜空に浮かぶ星のような光が、神社の方からゆっくりと近づいてくるんだ。そして、光が近くまで来ると、その中に何かが見えた。人の形をしているようで、でも、人間じゃない。皮膚が透けて見えるんだ。まるで、骨だけが浮かんでいるみたいにね。」

その話を聞いた村人たちは、不安に駆られた。神社に足を運ぶ者はいなくなり、夜になれば皆が家に閉じこもるようになった。

ある秋の夜、村で最も勇敢だと言われた若者が、神社に調査に行くことを決意した。彼は何も持たず、ただ小さな懐中電灯だけを携え、神社に向かった。

神社に着くと、何も起こらないかのように静かだった。しかし、彼が神社の奥にある小さな祠を開けた瞬間、突然、異様な寒気が彼を包んだ。彼は震えながらも祠の中を照らした。そこには何もなかった。だが、その瞬間、背後から誰かに見られているような感覚が襲ってきた。

振り返ると、そこには何もいなかった。だが、彼は確かに何かを感じた。そして、急に神社の周囲が暗闇に包まれた。懐中電灯の光が届かないほどの深い闇だった。

「何かがいる…」彼は思わず呟いた。すると、闇の中から、低く、しかしはっきりと聞こえる声が響いた。「ここに来たのは間違いだったな」

彼は全速力で村に戻ったが、その夜以来、彼は一睡もできなくなった。彼の目は常に赤く腫れ、言葉もまともに出なくなった。そして、数日後、彼は自宅で突然倒れ、二度と目覚めることはなかった。

彼の死後、村では異常なことが続いた。夜になると、神社から光が見えることはなくなったが、代わりに村のあちこちで不可解な音や声が聞こえるようになった。特に、子供たちが遊んでいた場所で、何もない空間から声が聞こえたという報告が増えた。

「お母さん、誰かがこっちを見てるよ…」

そんな声を聞いた子供たちは、次々と精神的な問題を抱えるようになり、村は徐々に衰退していった。

今では、誰もがあの神社のことを避け、話すことさえタブーとなっている。だが、夜、静寂の中で耳を澄ますと、今でもあの不気味な声が聞こえるという。

それはもはや、この世のものではない何かの存在証明。そして、人々は恐れながらも、知らず知らずのうちに異界からの訪問者を待っているのかもしれない。

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