闇に潜む影

心霊体験

ある冬の夜のことだった。

私は友人たちと兵庫県のとある山奥にある古い旅館に泊まることになっていた。その旅館は、地元の人々の間でも「怪奇現象が頻発する場所」として知られていたが、そんな噂を聞きつけては、逆に好奇心をそそられた私たちだった。

チェックインを済ませ、夕食を終えた後、私たちは部屋に戻った。部屋は古風な造りで、壁紙もところどころ剥げ、床もギシギシと音を立てる。それでも、暖房が効いており、夜の寒さをしのぐことができた。

最初は何事もなく、友人たちと談笑しながら過ごしていた。しかし、夜が更けてきた頃、何かがおかしいことに気付いた。窓の外から、まるで誰かが見ているような視線を感じたのだ。

「ねえ、外に人影が見えない?」私が言うと、友人の一人が窓に近づき、外を覗いた。

「何も見えないよ」と彼は言ったが、その声にはわずかに震えが混じっていた。

その後、私たちは就寝した。電気を消して布団に入った瞬間、静寂の中で聞こえるのは、風の音と、時折木々が擦れる音だけだった。

しかし、深夜、突然私は目を覚ました。部屋の中に、明らかに人の気配を感じたのだ。ゆっくりと目をこすりながら、周りを見回すと、そこにいたのは、一人もいないはずの部屋に立つ、影のような人間の姿だった。

その影は、まるで私たちの存在を確認するかのように、じっと立っていた。恐怖で声も出ず、ただ震えるしかなかった。

その影は徐々に近づいてくる。私は布団から這い出して逃げようとしたが、足がもつれて床に倒れてしまった。倒れた瞬間、影は消えた。

その後、友人たちも次々と目を覚まし、私たちは一晩中、眠れなかった。翌朝、旅館の主人に聞くと、「ああ、またか。ここはね、昔、戦争で亡くなった兵士たちの霊が出るんだよ」と言った。

旅館を出る時、私たちは決して後ろを振り返らなかった。あの夜の恐怖は、今でも私の心に深く刻まれている。兵庫の山奥に広がる闇、その中には何かが確かに潜んでいる。

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