鳥取県のある小さな町では、現代でも人が立ち入るのを恐れる古い学校が存在する。その学校は長い間放棄され、周囲の自然に取り込まれつつあった。
ある夏の夜、数人の高校生たちがその学校に忍び込むことを思いついた。好奇心と冒険心に駆られ、彼らは街灯もない暗闇の中、校舎の前に立った。鉄の門は錆びつき、軋む音を立てながら開いた。内部は闇に包まれ、月明かりだけが唯一の光源だった。
最初に足を踏み入れたのは、グループの中でリーダー格の少年だった。彼は懐中電灯を手に、古びた教室の一つに進んだ。黒板は粉塵で覆われ、机は乱雑に散らばっていた。しかし、何かが違う。黒板に残された文字が、彼らを凍りつかせた。「出ていけ」と書かれていた。
その瞬間、後ろのドアが突然閉まり、部屋は完全な闇に包まれた。懐中電灯の光も弱々しく、少年は慌ててドアを開けようとしたが、動かない。友人たちが助けに来るが、ドアはまるで生き物のように抵抗する。
恐怖に震えながらも、他の生徒たちは窓から外を見ようとしたが、外の世界は真っ暗で、まるで夜空が地に落ちてきたかのようだった。そして、その時、どこからともなく子供の泣き声が聞こえてきた。音は近づいてくるようで、次第に大きくなり、恐怖はピークに達した。
「どうしても帰れないなら、遊ぼう」という声が、暗闇の中から聞こえた。生徒たちは震えながらも、その声に従うしかなかった。そこから何時間も、見えない存在と一緒に遊ばされる恐怖を味わった。遊びはひたすらに繰り返され、時には自分たちの名前を呼ばれ、笑い声が響く。
夜明けが近づくと、不思議なことにドアが開く音がした。救出された彼らは、その後しばらく学校の近くには寄りつかなかった。しかし、その体験は一生忘れられないものとなり、何人かは学校の名前も覚えていないのに、その恐怖を語るたびに涙を流すようになった。
その学校は現在でも存在し、地元の人々は夜になると、遠くから聞こえる子供の声に耳を澄ます。誰もがその学校がどこにあるのか知っているが、近づく勇気はない。都市伝説かもしれないが、この町で育った者なら誰もが、この話の真実を信じている。