深夜の山道と消えない足音

ホラー

大分県の山奥、深い森に囲まれた小さな村で起こった話を聞いたことがあるだろうか?今から30年前、その村には誰もが恐れる「足音」があった。

ある夏の夜、村の若い男が友人たちとキャンプを楽しむために山に入った。彼らは焚き火を囲み、星空を見上げながら笑い合っていた。しかし、夜が更けるにつれ、何かが違うと感じ始めた。

最初は風の音だと思っていた。木々がざわめく音が、徐々に規則正しい足音に変わったのだ。足音は静寂の中で大きく響き、まるで誰かが彼らを追いかけているかのようだった。彼らは冗談で「幽霊の足音だ」と笑い合ったが、その笑い声も次第に消えていった。

足音は夜通し続いた。朝が来ても、足音は止まなかった。男たちは慌ててキャンプを撤収し、村に戻ったが、その足音は村まで追ってきたという。

村人たちは誰もがその足音を知っていた。数年前、村の外れで遭難した若者が最後に見たのは、闇の中から近づいてくる足音だったと伝えられている。村の長老は「それは山の神の怒りだ」と言い放ったが、誰もがその正体を知りたくはなかった。

男たちは村に戻った後、しばらくは外出を避け、家で過ごした。しかし、足音は彼らの家の周りをうろつき続けた。夜になると、窓から聞こえるその音は、彼らの心を恐怖で満たすだけではなく、睡眠を奪い、精神を崩壊させていった。

村では、足音が近づくと何かが起こるというジンクスが生まれた。ある家では飼っていた犬が一夜にして姿を消し、別の家では家族が何者かに襲われた形跡が見つかった。足音は村全体に恐怖を植え付け、村人たちは互いに疑心暗鬼に陥った。

男たちは、もう一度山に入ることを決意した。今度は足音の正体を見つけるためだ。だが、彼らは山で何を見たのか、何を聞いたのか、帰ってくることはなかった。

今もその村では、夏の夜になると足音が聞こえるという。村人たちはその話をしないようにしているが、訪れる者は誰もが一度はその足音を聞くことになるだろう。そして、その足音が近づくとき、恐怖は再び村に訪れる。

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