宮城県のとある町では、地元の高校がその地域で恐れられていた。特に、夜間に学校に足を踏み入れることは誰もが避けるべきとされている。数年前のある秋の夜、私は友人とその学校で何か面白い話がないかと探しに行くことにした。
校門をくぐると、冷たい風が頬を撫で、周囲の木々がざわめく音が耳に響いた。私たちは慎重に校舎へと向かった。校舎内に入ると、そこは静寂に包まれており、ただ自分の足音だけが不気味に反響する。
友人と一緒に教室を一つずつ調べていくうちに、私たちは理科室に差し掛かった。そこには古い実験器具が散乱しており、何かが起こったかのような不穏な雰囲気が漂っていた。
その時、窓の外に一瞬だけ影が通り過ぎたのを見た気がした。しかし、もう一度見ようとすると、そこには何もない。ただの幻覚だろうと笑い飛ばそうとしたその瞬間、教室の黒板に何かが動いた。
恐る恐る近づいてみると、黒板には血で書かれたような文字が浮かび上がっていた。「出て行け」と書かれていたのだ。私たちは慌てて教室を出ようとしたが、ドアが開かなくなっていた。
その恐怖の中、友人が泣き出し、私も心の底から恐怖を覚えた。すると、教室の隅から小さな声が聞こえた。「ここは私たちの場所だから…」
声の主を探すと、そこには見覚えのない子供が立っていた。その子はずっとこの学校に取り残されていたのか、何かを求めるように私たちを見つめた。突然、その子が消え、ドアは再び開くことができた。
私たちは脱兎のごとく校舎から逃げ出し、二度とあの学校には近づかないと誓った。しかし、後日聞いた噂によると、あの学校には長い間、事故で亡くなった子供の霊がさまよっているという話だった。
その夜の体験は、今でも鮮明に記憶に焼き付いている。特に、あの黒板に浮かんだ血文字と、消えた子供の目は、私の心に深い恐怖と謎を残してくれた。